ペルシャの打楽器奏者の蔡怜雄、笙奏者の大塚惇平のこのデュオは、これまで即興演奏でのライブを多く重ねてきました。
このたび、NUMANの佐東賢一さんのご好意でスタジオでの即興演奏による一発録り、聞き直してみたところこれで一度CDとして形にしてみては?の流れに。いくつか良いものを抜粋して形にしてみました。
曲名は、改めて聞き直してみたときに浮かんできたイメージを言葉にしたものです。これまでにも何度かこのデュオで「作曲」を、ということを話し合ってきたのですが、なかなか進まず。それでも、即興演奏ライブの度に浮かんでは消える響きのイメージは、様々な旅の情景のようで、好評を博してきました。
こうして曲名をつけてみたのは、いわゆる「作曲」ではなく、どこからかやってくる曲のイメージを源泉として、
それを「曲」として定着できないだろうか、という試みでもあります。
「新しい繭」。このデュオの新しい試みを少しでも楽しんでいただけましたら幸いです。
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1.黄緑の轍
2.アルメニアン・チャント
3.さやけの
4.女媧のきたる
5.クニスナ
6.遠乗りの記憶
笙、声:大塚惇平
トンバク、ダフ、レク、声:蔡怜雄
レコーディング、マスタリング:佐東賢一
アートワーク:大塚惇平
デザイン:下山健太郎
価格:1,800円(税込)郵送料:200円
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〜曲想について〜
1.黄緑の轍
始まりのイメージ。雅楽の六調子のひとつ「壱越調」は、方位は中央、色は黄色、ニュートラルな物事の状態を表す。
轍はこれまで通った道。これから通る道。(笙・トンバク)
2.アルメニアン・チャント
かつてあったかもしれない、想像上の聖歌。あるいはアルメニアの洞窟で。(声・ダフ)
3.さやけの
遠い空の上でかすかに光るもの。瞬くもの。
あるいは、天鼓。その響きを聴く静かな青い野のさま。(笙・ダフ)
4.女媧のきたる
女媧は中国の創世の女神で、笙を発明したとされる。
また、一説には女媧は元は中国南方の少数民族である苗族の女神であったという。
苗族は笙の原型と言えるような「蘆笙」という楽器を奏でる。
そのような故事に誘われて、南方からやってきた女媧と、笙のきた道を辿って。(笙・レク)
5.クニスナ
当時大塚が読んでいたライアル・ワトソン著『エレファントム 象はなぜ遠い記憶を語るのか』から。
南アフリカ、クニスナの大地。海。失われた象たちの鎮魂。(笙・トンバク)
6.遠乗りの記憶
中央ユーラシアに広がる草原。馬で遠乗りした日の記憶。
馬の駆けるリズム。風の匂い。夕日の匂い。(笙・ホーメイ・トンバク)